夏はもう秋/山人
あった。以降、酷暑の時には必ず梅干を小瓶に詰めて持ち歩くようになったのである。また、昨年は盆明けから極めて暑い日が数日続き、期外収縮も多く発生した。ごまかしごまかし刈り払いを続け、三十分ごとにキンカンを体に塗布し皮膚を冷やした。加えて昨年は、ユキツバキが大量のチャドクガの幼虫に食害され、私たちも漏れなく刺され、全身痒みと湿疹に明け暮れたのである。
まさに命の危険にさらされる日々ではあるが、何の能力もない私に何ができるというのだろう。せいぜいこんなことくらいだ。仮になにかの技術が多少あったとしても、六十を越えた人間を戦力として見てくれる会社は稀だ。ただ、こんな危険で体力の限界を彷徨うような場面
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