飢え/
石田とわ
オオカミは
目の前にいる羊を
食らいたかった
飢えていたのだ
一気にかぶりつき
骨まで食らいたかった
でも、気付く
食らってしまったら
また飢えねばならぬと
オオカミは下を向き
草の根を噛む
羊はいつでもそこにいる
羊がいるかぎり
飢えなくてもいいのだと
言い聞かす
たとえ
草の根を噛んで過ごしても
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