go back on/ホロウ・シカエルボク
 
連中が軒下に移動している、ビニール傘を打つ雨粒が立てる音は悪足掻きに聞こえる、そんな音があたりを支配してしまうから、世界はほんの少しだけ穏やかに見える、スティングのヒット曲が小さな電化店のラジカセが受信しているラジオ電波から流れてくる、彼はきっと故郷に居たってそんな思いを感じ続けているだろう、記号の羅列が真実を語るなんて夢物語のようなもの、なのに人はこぞって言葉ですべてを片付けようとする、爪楊枝で剣劇をするようなものだ、命を賭けるような闘いなどない、時間が経てば指が痛くなるくらいのことはあるかもしれない、駅前の観光客はまばら、満たされる土地へと特急が滑り出す、八社のアナウンスにはこちらの心を急かす
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