森を求めて/
asagohan
廃棄物のコンテナ脇で
カナブンが干からびている。
森は遠く
工場地帯は乾いている。
迷い込んだ旅人を
夏空が灼き、
アスファルトは土中に
逃れる術を阻んだ。
白髪の課長が
芝生から立つと
甲虫が歩いていた。
その人の口元が緩むのを
エレベーターの隙間から
僕は見た。
茜色の空は無関心に通りすぎる。
クルミのように
割れ散った甲虫は
いつまでも乾いていた。
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