新しい花/やまうちあつし
 
炎につつまれて
咲いたのだろうか
悪夢にうなされて
散ったのだろうか

頭を垂れる姿は
動物のようでも
壊れた傘のようでも

水の真似をすればいい
高いところから低いところへ
流れるからだ
髪の毛や表面が何色だろうと
魂の色は透明だからだ
(生まれたからには
 そのことだけを)

あらゆる花瓶に挿す花がない
うつくしいものがいるすしている
言葉が後をつけ回すだろう
迷った猫の足取りで

すべて忘れたはずなのに
なぜか悲しい顔

失うことで
わたしはわたしに
近づいてゆく

戻る   Point(1)