すすき野原で見た狐/板谷みきょう
かが、その姿から満ち溢れていたからでした。
与一は、その懸命な姿に、何故か、心を惹かれている自分に、気が付きました。木の葉を、とっかえひっかえしながら、懸命な狐の姿に、与一は何とか手助けをしたくて、仕様が無い自分に、気が付いたのです。
「そうだ、そうだ。これからは野山を歩く時に、あそこ、ここの雑木林から、色々な木の葉を集めて、狐の来る前に、すすき野原に置いておけば、きっとあの狐の某かの役に立つに違いない。」
くぬぎ、なら、くり、もみじ、さくら、その他、兎に角、すすき野原へ行く時に、与一は目に付いた木の葉を、何でも取ってきて、持って行きました。
その時から、与一の一日の日課に
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