どこまでも白い海/ベンジャミン
 
海と陸をつなぐように
あなたは海岸線を歩いている

砂浜で波とたわむれる
あなたを見失ってしまいそうで
急いでかけよった
僕の砂まみれの顔を笑っている
あなたの白をたどれば
その薄紅色の唇が柔らかく動くたび
広がってゆく海が見えてしまう

貝殻を耳にあて
潮の声に耳をすませるあなたは
まるでさっきまで海草に囲まれていたような
髪を風になびかせて
打ち寄せる波のかけひきに見とれている
そんな
あなたを見つめる僕は
溺れないように空を仰いでしまう

気がつけば陽は傾き
景色はうっすらと朱に染まろうというのに
あなたは変わらず白く吹かれている
両手を
貝のようにあわせて
すくいあげた水を誇らしげに見せる
透けて見えるその
白い手のひらに浮かぶ透明

僕にとっては
それこそが海なのだということに

あなたは気づいていない

    

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