詩の日めくり 二〇一六年十三月一日─三十一日/田中宏輔
った。
わしがケツもふかずに
ひょいと腰を浮かして覗き込むと
水にひろがりつつある軟便も
わしを見上げよったのじゃ。
そいつは水にひろがり
形をくずして
便器がパープルカラーに染まったのじゃった。
ひゃ〜
いかなる病気にわしはあいなりおったのじゃろうかと
不安で不安で
いっぱいになりおったのじゃったが
しっかと
大量の水をもって
パープルカラーの軟便を流し去ってやったのじゃった。
これで不安のもとは立ち去り
「言わせてやれ!」
わしはていねいにケツをふいて
「いてっ、いててててて、いてっ。」
手も洗わず
顔も洗わず
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