少女虹彩/あらい
 

あなたは南天の姿と想い、
   季節の移り変わりに ゆきに見舞われ
           私は庭の木偶の坊と化し、
         唯移り行く奇跡に庇われては
       空き家を黙って護っておりました
床下から逃げ出した灰色のネズミが
            幸運を奪うときに
      己だけを、おいていったのでしょう
 彼女が軒下にすんと風鈴をぶら下げているのを
闇は                 見た
 いっそう色濃く足元に縮こまる中にあり
   きみは浮いた実を
     かのように砕かれ、
        私は時々に描かれていきます
 それが発芽し、開いたざわめきに目を奪われ
   再び新らたな子を呼び込むものでしょう

正午障子では、影も形もない
         いまにわたしを伝えられない
  おんなは右のあなたの上に常にあるので。
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