少女虹彩/あらい
 
ひとつかいがらが埋葬されています
母のように、いつか凪ぐために

 ――このみちが海の底で、あることを問う
            ときの鼓動を聴いて
  その場限りの感嘆が ひゅるとつきぬけて
        やっと私の声は耳に届きました

  虚ろな老人は夕雲の子とみて
平をそっと開け放てば手籠から逃げたあぶくが
   ぽつぽつと雫を降らせるので、
   これは、魂の落としものです。
出鱈目な嬌声が溢れては
          かみの維が破れただけと
    蜘蛛のこととして授けられましょう
雑然とした開放感に 驚いたときに綿埃が
ひかりに溶けることを知った

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