無音灯/草野大悟2
括れはなめらかにうねりながら喘いでいる
双丘が白く輝きながらゆるやかなスロープをのぼりつめ かすかな声をもらして 一瞬 プラチナ色に燃えあがったあと 潮がひくようにゆっくりと荒い息づいがきえてゆく………
よちよち歩きの幼女であり 清らかな娘でもある
時には 手練手管にたけた擦れっ枯らしの娼婦だったりもする
女の世界に棲む人たちには音がない
痛くなるほどの静寂
かすかにもらされる あのまぶしい灯りだけが頼りだ
灯りを抱きたい
ずっと棲んでいたい
纏っている過去を 一枚一枚丁寧に剥がしてゆけば 女の本性が姿を現すはずだ 悪魔的で淫靡な魅力ある作業の先にあるものを想像するだけで おおきく昂ぶる
女は水面にうつる光
だから、こちらもゆらゆらになって
ひとつひとつ
ていねいに剥がし
紡ぎだしていくしかない
光の行方が さっぱり読めなくなった初夏
ひとり雲をながめながら
そう覚悟をきめた
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