夕焼けのニュース/鈴木ぽろ
夕焼け 遠い空の向こうに 小さなニュースが消えていく
戦争について語る夕刊紙 読まないまま 駅を降りて
選挙の演説をしている人たち 何も聞かないまま 通りすぎて
駅前のロータリー バス停に並ぶ人々
孤独な車がぐるぐる回りながら 止まる場所を探してる
私と出会う人たちは本当はすれ違うだけなこと
綺麗な道が舗装されて 違う目的地に向かっていただけだとわかること
悲しみとは何か違う。対向車線を乱暴なジープが飛ばしていって
私は彼らに挨拶したくないのに さようなら と言えば
世界は正しくアルバムになってしまう
おやすみなさい 終電を超えて 駅に取り残された職員の人
夜の都会に 私が見たこともない明かりが点っているから
今日も 私は世界を独り占めできない
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