置き土産爆ぜる/ただのみきや
を
意にも介せず焦がれて焦げて
女神の羽衣
一週間ほど前の朝
ブロック塀に止まっているオオミズアオを見た
ちょうど同じ場所で
今朝オオミズアオの前翅だけが落ちていた
同じ個体ではないにしても
なにやら事件の目撃者として
勤めを果たさなければならないような
それは事件ではなく日常の生物界の営みだが
そそのかされて隠喩的意味を与えてしまう
古代的心情こそ
現代人としての無自覚的矜持を散失してゆく
手っ取り早い方法かと想いつつ
ほくそ笑む
べつに誰にという訳じゃないが
これを読む あなたに
《2021年7月3日》
戻る 編 削 Point(1)