置き土産爆ぜる/ただのみきや
晴天なり
このまま空に溶けたいね
うた声みたいにさ
エビスの空き缶ひとつ残して
火を盗るもの
日向のアスファルト
黒い毛皮のケムシが駆ける
機関車みたいに突っ走る
焼かれる前に焼かれる前に
辿り着きたい場所がある
間に合わせたい時がある
からだのなにかに急かされて
生と死のストライプ
めくら滅法ころがるように
焚火のまわり
ピエロの衣裳で蛾はめぐる
クエーカーみたいに震えながら
飛びこむ前に飛び込む前に
惜しむことなく全て賭し
おもむくままに踊りたい
こころのなにかに誘(いざな)われ
生死の帯の曖昧を
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