未定/空丸
 
ここには帰れない
もうここには帰らない


  車窓


地下鉄はいつの間にか地上を走っていた
車窓には冷たい青空が広がり
給料も上がらず物価高なのに高層ビルは笑っていた
痛いときには痛いと声をあげたほうがいいのだろう
自分は弱いと思っている人ほど社会的には強い
今日ぼくはドアを開けた
あちらこちらで
靴を履きドアを開ける音が
車窓を輝かせる


  小さな後ろ姿


子どもが右に左によろめきながら
登校している

太陽が爆発しすべてを焼き尽くした
灰となった心はまだ燻っている



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