灰色の鬼/板谷みきょう
で、遊んでいる子どもたちの中の一人の娘を、この鬼は、一日中溜息をついては、ぼんやり見詰めているのでした。
ずうっと前に、鬼はこのことを、お日さまに言ったことがあります。
鬼の話を聞いた後に、お日さまは言いました。
「鬼は鬼。人間は人間。」
鬼は一晩中、野っ原で月の光に当たりながら思った。
「どうして鬼は、人間を好いたらいけないんだろう。」―――
人間が、どんどん住む所を広げたため、住む世界を追われて、鬼は、深い深い山の奥深くで、ひっそりと暮らしています。
この、うすのろで間の抜けた灰色の鬼は、その鬼の世界からも、仲間外れにされていました。
そして今、こうして、栗の木の下に座
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