急性淫/北井戸 あや子
 
浅く探したこころの縁取りは、いつのまにか淫靡に変わった
まじわる言葉の意味だって明日には灰になってしまう人生だから、わたし独りで夜を走った
「これも嘘と笑って、孤独も阿呆に信じ込ませてよ」
身体と声に拘束されるだけされて、それだけで一生は果ててしまって、苦しみはいつも藍染めだったから、黒いインクを頭からかぶった
影になりたかった
「そんなことを最期に言うくらいなら殺してほしかった、死ぬ勇気なんて持ってないから」
借り物のさよならを繰り返して、捕らわれたこころが無限に死んでしまう
愛している、愛してた。殺伐と抱き合って壮絶にねむる日々は巻き戻して擦り切れてしまった
「どうか誤魔化さな
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