雑居ビルの一室で/ただのみきや
 
前戯なし

あなたの輪郭はとぎれとぎれ
知っていることは数えられ
知らないことは無限大
ところどころはっきりしても
ひとりのあなたが不鮮明
印象だけが白く火傷して
わたしをジャンキーにする
瞳を凍らせ彫像にして
全方位から探ってみても
モナリザのように
ニケのように
そこに在って永久に遠い
あなたのリズムと重なりたくて
影踏み遊びのふりをした
歌に迷った奥の奥
ひとりぼっち途方にくれた
自分の背中が飛び降りる






愚者のライセンス

時を惜しんで間をもとめ
無駄にはしないと競うよう
そんなこころの有り様に
過ぎ去る景色
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