長い1行の集まり/空丸
 
続け 銭湯の煙突に三日月が座り 川辺のベンチで忘れられた携帯電話がなっている
物語は始まらない


  そよ風を折りたたんで


「砂浜に抜ける路地」を一つ拾ってきて、波の音を額縁に飾る。愛という言葉で何を隠したいのか。行間には関係性だけがあって鞄には入らない。みんな事情を抱えていて、「普通」の人はいない。憎しみの反対語が「猫のまばたき」ならなんといいことか。


  雲の影


振り返りざま見たものは帰り支度をしているサーカス団だったか、土手を歩いている少年の私と犬だったか、空地に残された小さな日向さえ


  傾いた椅子


音がして起きた。初夏が騒がしい
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