尺八老人と漬物の恋/道草次郎
 
水がゆれます。風のせいです、とそう書くのが救いとなるならばその限りにおいてそうかけばよい。

とても、紫陽花が綺麗ですから、撮って送りました。

ああ。
東屋で尺八を吹く初老の方ももう姿がみえない。
かつて、おれがおれの横の人とそのひとのなかにいたもう1人のひとに、とてもたくさんな事を話しながら歩いたときのあの公園ではもうありません。ときは流れた。

漬物を毎日のように尺八老人にもってくるおばあさんの恋は実らなかったのでしょうか。夜勤明けのあの日、ほほえましいあの恋についてはなしあったことがまるで夢のようだ。
そうだよ、じつにほんとうだとは思えない。


(やどったものは、よく笑ってくれるそうです。)

じつは一番の目的、相葉くんには悪いけれども、池のほとりのお地蔵さまだったのです。

(やどったものは、そだち、わらい、なきます。そのどちらもシリウルカギリただしく。)

てをあわせたので、かえります、帰る所など、もう無いけれど。そうと口には出さないで。

夕焼け。
さいわいをいのります。

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