オケラ哀歌/びわ
 
みずきは葉ばかりになり

新書は緑の香を帯びて

檸檬は哀色に光る

昼の通りは錯覚を落とし続ける



櫻の下から 流れるとも浮き出るともつかない声が

絶えず星に向かっていく

螢にはなれない


迷い込んだ動かない殻を

光には当てず 檸檬の横に置こう


彼が望んでいたかは別として




通りが錯覚を創りはじめる頃

土を離れた体は 白く昇って行く

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