詩の日めくり 二〇一六年十月一日─三十一日/田中宏輔
しまっていることが多くて、ぼくは、塾からの帰り道、「そうだ。ぼくの目もたくさんのうつくしい者たちの姿を見てきたけれど、そのうつくしい姿がうつくしくなくなるのまで見てきたのだ。」と思ったのだった。2週間ほどまえ、むかし、かわいいなあと思ってたひとと河原町ですれ違った。いまはもう微塵もかわいらしいとは思えなかった。ぼくの目は表面しか見えないようだ。これまで付き合ってきた男の子たちとは、いちばんうつくしいときに出合って、別れたのだと思う。ぼくの作品は、そのうつくしさを写し取っているだろうか。「高野川」、「夏の思い出」といったものが、それだけど、「どこからも同じくらい遠い場所」や「陽の埋葬」のいくつかも、
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