詩の日めくり 二〇一六年十月一日─三十一日/田中宏輔
ない。しかし、いくつか断章を目にする限り、その印象は間違っていないように思う。カヴァンの『チャンジ・ザ・ネーム』をほっぽいて、先に、武田 肇さんから頂戴したほうを読もう。どの断章も三行で、改行詩のようになっていたり、散文詩のようになっていたりと、読みやすい。ひとつ、ふたつ、採り上げてみよう。みっつよっつになったりして。
森の。 雪で遊ぶ人人
めいめいに内心を抱えながら、花めきながら、
じつはただ一人が居るだけなのだが。
(武田 肇 られぐろ・エピローグ「森の。 雪で遊ぶ人人」)
この世のすべての顔━━良いかほも悪いかほも━━を足すと
おびんずるさまになるのかもしれない
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