緑は濃く/山人
 
する。五十嵐氏が言うには、電力会社から福島県側も高齢者が多くなって山作業のやり手がなく、我々が駆り出されているのだとぼやく。俺らだって十分すぎるほど高齢者なんだがなと、豪快に笑い飛ばす。
 二日目の岸壁の木の根っこにつかまりながらの手刈りによる作業。三日目の雷の鳴る大雨の中の作業。最終日の炎天下で意識が混濁してくるようなきつい労働。それが終わってから、家に着けば厨房仕事が待っていた。今月初めから始めた登山道整備と今回の送電線下作業で体中は悲鳴を上げていたが、やっと落ち着ける。あと数か所ほど、細かい登山道整備が残ってはいるが、今月末の山開きには何とか間に合うだろう。
 春は某建設会社の県道の掃除の手伝い。この間も近くの建設会社の手伝い。そして今回は浜建設の手伝い。まさに老人派遣肉体労働請負人集団になってしまっているありさまだ。それはそれでまったくかまわないのだが、失われつつある体の機能を改善する特効薬はないものだろうか。まったく元気なのは、あいかわらずふてぶてしく濃くなる緑ばかりだ。
  
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