生前供養/ただのみきや
骨を飾り
燃えるように色彩をほどく
声のないとおい笑いのように
心臓
耳にあてた後
遠くへ放って
紅い河の流れ
みじかい夜を
くぐる風の声
対極
幼児が描く母親の顔
画用紙いっぱいの顔
秘めた意味はなく
溢れる愛情がある
思想も計算もなく
無心な誇張がある
生前供養
根を掘り起こせば起こすほど
希望は白骨化し
世界はすでに滅んでいる
そんな人
日々を短い夢で埋めていく
大きな夢に疲れ果てた長い
長すぎる余生に
自らを供養する
ささやかに
添えて 灯し 飾っては
あるべき曖昧を続けている
そんな人
鍵の壊れた開きっぱなしの
でなければ
煙のことば
自分をほどいて還すなど誰が
《2021年6月19日》
戻る 編 削 Point(8)