サカガミ/ふるる
 
すぐにいなくなり
あれは幻だったのかと我々が首をひねる頃
あの子が海外でとても有名になっているという話がもちあがり
さすがにサカガミの恋人だと言い合った
たとえ一時でも

とにもかくにもサカガミは我々が友人だと思っている数少ない者の一人
たまに忘れ去られたりもするが
いなければやはり寂しい

困ったことがあるなら相談に乗ると
サカガミが言ってくれた事があるが
彼の前では困り事など普通の事で
話すことなどなくなるのだった

サカガミは確かに孤独を生きるものだったが
それは我々も同じなのだと
嫌でも分からせてくれる存在

サカガミの好きな乗り物は台車
風に吹かれるから気持ちいいのだという
タンポポの気持ちだという
そんなことを教えてくれる

歯みがき粉を買わなければならない
また唐突に言うサカガミ

ところで猶予がないとはどういうことだろう
サカガミに聞いてみたいが多分
教えてはくれない



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