派遣失踪の詩/板谷みきょう
 
寂しい夜は盛り場に出て 
物憂げな顔の女を抱いた
日銭を稼ぎ働く俺は 
憧れだけで故郷を捨てた

ふるさと遠く流離う俺は
帰る当てなく安酒あおり
名前も知らぬ住まいも知らぬ 
行きずりの哀しい女を探す

訛り懐かしふるさと恋し
気掛かりなのはお袋親父
胸の奥には潮騒の音
胸に顔をうずめ時には泣いた

肌を合わせて体を重ね 
枕を交わし求めて抱いた
それだけが俺のたったひとつの
探し見付けた愛の形だ

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