映画/竜門勇気
 
話なんだけど
話し始めてみる

重さに引き伸ばされている
ビニール袋もこの時間も
意味あるものは何であれ無意味だ
時間をコップに注いで見ればわかる
アルペジオ。夏の日々がぐしゃりと
音を立てながら僕を振り返る
「何度も目があったろ?何度も話をした。」
「一緒に映画を見た。行列に並んでさ。」
「前に立ってたやつが気に食わなくて、路地裏で犬の糞咥えさせてさ。」
誰かが話し始めた
「覚えてないなんて、めんどくさいよな。見えない空気を吸ってるみたいだ。」
白く、脆くて、ビニール袋ってのはほんとにクソだよ
簡単に口をくくれること以外はゴミでしかない
口から出たゴミをくくれるの
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