終の犬 2。/たま
の子。アトピーです。と。若い獣医は。こともなげに
宣告した。アレルギー性皮膚疾患だった。のだ。Kが。
たまに眼科でもらう目薬のような。小さな容器に入った。
その塗り薬は。ひとつ。二千二百円。さすがによく効く
塗り薬だった。が。塗ったからといって。アトピーは。
完治するものでもなく。その塗り薬は。彼の。常備薬に
なった。毎月。ひとつでは足りなかった。想定外の出費
が嵩んで。さすがに困り果てた。Kは。アルバイトを探
すことにした。が。六十八才になった。Kの。週三日。
一日三時間。という。都合の良い職場は。当然のこと。
見つからなかった。それで。Kは。コロナ対策として。
政府が支給
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