終の犬 2。/たま
 
今日という日を。ひとは見ることができない。
今日という日が。とおい過去になるまで。今日という日は。
見えないのだ。積み重ねた。今日と。昨日の。狭間には。
年輪のような行間が生まれる。が。行間を読まなくなった。
日本人は。それさえも。読まなくなるのだろうか。今日も。
昨日も。見えなくなって。その先にあるのは。亡国。とい
う名の。未来だけだとしたら。君は。悔しくはないか。
小春日和の午後。生後八ヶ月の。彼を。抱っこして。Kは。
体重計に乗る。足下の数字は。57キロ。Kの。体重は5
2・5キロだから。彼は。まだ5キロに満たない。ひどい
下痢が続いたのだ。なにを食べても下痢が止まらない
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