sonnet/朧月夜
Seal-Womanという者がある。
それはアイルランドかどこかの伝説だそうだ。
アザラシのなかには、女性が隠れている。
それが月夜の晩、本当の姿を現すのだそうだ。
しかし、アザラシの娘たちは、
夜明け前にはその姿を隠さなければならない。
なぜなら、Seal-Womanとは夜だけに存在する者だから。
人は歎き、悲しみ、彼女たちの歌を歌う。
アザラシの娘たちは、いったい誰を救うのだろう。
月光の呪いにとらわれた男たちか、それとも、
狩猟や採集に明け暮れた者たちだろうか。
アザラシの娘たちが本当の姿を現すとき、
男たちは畏怖と感動の念に包まれる。それはまるで闇夜の調べ。
Seal-Womanは今日もどこかで歌っている。報われない者たちへの救済の歌を。
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