時代のゆくえ/三月雨
 
人びとが 今くちにする
空の色の数
道にいる動物の匂い
草を踏む音
折れた傘の骨の光

知っていてもう覚えていられない

あの日確かに見たような
まるで懐かしい思い出のような

硝子の向こうに見えている
知っているのに知らない話


みんなことばを選んでは
その届かない向こうのことを
三メートル隣のあなたへ

音のない声で
告ぐ




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