ヘイ・ヘイ・マイ・マイ/ホロウ・シカエルボク
四方八方で断続的に吹く
弱い風のようなものになった
おれはオペラグラスを手にして
そのくせ覗いてみようとはしなかった
マットなグリーンのメルセデス・ベンツ
運転手がハンドルに突っ伏している
あとで分かったことだが
持病が災いしてそのまま死んだそうだ
甘いコーンフレーク、そのあとの
機銃掃射のように浮き上がる蕁麻疹
あちこち弛んだみすぼらしい連中が
おれの肩甲骨のあたりになにごとか囁いている
あるいは、遠くで
遠慮すんな、ここまで来い、おれの目の前に
ま
そんな度胸があるとも思えないけどな
悲鳴が上がる
路上で揉めてたどちらかが刃物を使ったらしい
男のほうか、女のほうか?
血を流しているほうが被害者とは限らない
おまえは
かさぶたのように崩れ落ちる
おれは
気付かないふりをしてパールジャムを聴いてる
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