広くて静かで誰もいない/コーリャ
 
、俺と、世界と」

いつか、あなたは、広くて静かで誰もいないところに行きたいと言っていた。それでも、あなたは、こんなところに眠っていないだろう。あなたは、流れている。俺も、きっと、流れている。俺たちは、運ばれていくほかないんだ。それが存在するということで、それが生まれてきたということなんだ。俺は、また、人びとの中に帰る。あなたが、どこに帰るか、俺は知らない。思い出が、どこに帰るのか知らないように。世界が、どこに帰るのか知らないように。俺は知らない。ただ運ばれるだけだ。あなたが永遠になってしまったと人は言うよ。あなたが季節を重ねなくなったと。俺はそんなことを信じないんだ。永遠なんてなかったんだ。どこまでも、あなたは、運ばれていく。運ばれていってしまうんだよ。俺もそうだ。みんなそうだ。だから、いつか、離れてしまうときに、小さく、小さくなったとき、あなたは、ようやく辿りつく、本当に、広くて、静かで、誰もいないところに。いつか、あなたは、そこに辿りつく。でも、それは、そんなにすぐじゃないんだ。あなたは、長い流れのなかで、ゆっくりと、みんなと同じように、運ばれて、運ばれて、いくしかないんだ。
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