詩の日めくり 二〇一六年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
ことで、すぐに傷ついてしまうようになってしまった。弱くもろくなっていくのだな。でも、それでよいとも思う。毎日がジェットコースターに乗っている気分だと、むかしから思っていたけれど、齢をとって、ますますそのジェットコースターの速度が上がってきているようなのだ。瞬間を見逃さない目をやしなわなければならない。瞬間のなかにこそ、人生のすべての出来事があるのだから。


二〇一六年六月四日 「2009年4月28日のメモ」


芝生を拡げた手のひらのような竹ほうきで、掃いていた清掃員の青年がいた。
頭にタオルをまいて、粋といえば粋という感じの体格のいい青年だった。
桜がみんな散っていた。
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