詩の日めくり 二〇一六年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
ころで
父親がもらわれた家の女主人は被差別部落出身者だった。
ぼくのおばあちゃんになるひとだけれど
血はつながっていないのだけれど
ぼくの実母も、高知の窪川の被差別部落出身者なので
なにか因縁を感じる。
ぼくは、おばあちゃん子だった。
花名刺をくれた女装のひとは
水商売をしていたのだけれど
あんまりうまくいかなかったわ、と言ってた。
九紫の火星やから水商売に向いてへんのよ、と言う。
だから、6年前から、花名刺をつくって
名前を「みい子」から
「水無月染弥」に替えたのだという。
6月生まれやから水無月という名字にして
下の名前の「弥」は
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