安息日に詩を書くことは許されるか/ただのみきや
 
猫のように見上げる
空のまだらを
鳥に擬態した
ひとつの叫びが
紙のように顔もなく
虚空をかきむしる

骨の海から引き揚げた
もつれた糸のかたまりを
自分の鼓膜にしか響かない声を持つ
女の眼差しが
金の蜂蜜で燃やしている

直立したまま朽ちて行く
花は賛歌
そして生贄として
巻貝の夜の胎へねじれながら
死の被膜を突きぬける
盲人の視線が射とめた震え

窓ガラスにぶち当たって
落ちて行く
ヒヨドリのかすかな
息の赤さ
うたがい深い四肢をひろげて
草木は思考を阿弥陀におおう

棘のある四肢の抱擁で
口笛もまだ吹けないまま
幼児は自らを捕食した
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