sonnet/白/黒
 
早咲きの紫陽花を見て、立ち止まる。
曇り日のある午後のこと。午後のこと。
神……という言葉は使いたくないのだけれど、
神は早咲きの紫陽花をどう思うのだろうか。

天でも良い。
四季のあるこの国で、紫陽花は梅雨の象徴である。
そして、雨を呼ぶ天使であるのだ、きっと。
早咲きの紫陽花を見て、わたしは不安の念に襲われる。

また、明日(あす)も目にしたい、枯れないでいてほしい。
枯れてしまった紫陽花は、あまりにも淋しいから。
切ないから。悲しいから。こころが狂いそうになるから。

早咲きの紫陽花を見て、立ち止まる。
曇り日のある午後のこと。午後のこと。午後のこと……。
今、誰もがはるか過ぎる想い出に追われて。
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