底のない浜から/アラガイs
 

 高台から遠浅の浜を眺めると波の照り返しには目が眩む。
鰯の群れを追いかけて飛沫をあげるスナメリが、
                    ハセイルカの一団を連れてやって来た。
小屋の喜三郎は日の出前に仕留めたミンククジラの解体に追われ手も脚も出せなかった。
  ( わりゃあ こげんときにかぎって来くさるのう ) 陽の潮に引かれ波は落ち着きを取り戻していた。
喜三郎が肉を板に放れば米蔵がそれを束ねる。それを竹籠に盛ると交代で担ぎ浜を駈けあがるのだ。
  なんともいえない塩味の薄さに舌の感覚が麻痺してしまったようだ。弱々しい台所の椅子に腰掛けて考えている。海図を探索してもアサリは獲
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