ガラスの精進/
ただのみきや
ように熟れた惑星があった
脳天から真白に裂けて
雲の上の地獄から結婚が落ちて来ると
地面は白い粉に変わって抜け落ちた
厚みのない文字を
はじめて真横から見ていた
コールタールの闇が
どこまでも
落下のような静止が
続いていた
眼差しの奥から溶け出した夜が
男の口の中
羽化する夢を見た
ことばはたぶんわたしだ
女のアバラに編み上げられた蜘蛛の巣も
棘のある愛欲の蔓草も
すべてわたしだった
《2021年5月16日》
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