来迎/葉leaf
 
為の軌跡を残像に刻んだ。だが僕は描かなかった!精神科医を活け花に転生させる。彼女の描く情感の奔流により、彼女が「彼方」からの来迎者であることを知った。僕は植物のように、大地から温かいものを吸い上げ、四方に放射した。

雪の蔵する光たち。「彼方」は薄光に照らされて。そして、光は血となり滾りゆく。

喜びが溢出し、浮力が僕を支える。衣服から転がり落ちる幻滅を丹念に拾い集める。けれど少女は泣いていた。安息の地は奪われて。流れる風は棘を持ち、みなぎる水鏡を傷つける。少女を冷徹に見やると、僕は唐突に、夜の王冠を失ったことに気づいた。


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