来迎/葉leaf
水平線から屹立する歪んだ石棺の中で、僕は世界を描いている。つねに覚醒する神々の息吹に合わせて、僕は一日を造形する。鳥たちは朝と昨日とを見つけ、太陽は残酷に衣装を剥ぎ取る。選ばれているのだ。だが、奪われてもいる。暗い内水の高まりゆく刹那、「彼方」は諧調の狭間へと四気を滑り込ませる。校庭の音楽、沈黙の味わい、闇の手触り、海の匂いを。僕には「描く」ことしか許されていないのだ。
光を失った珠璧から雫が落ちる。幸福でさえ僕を正しくは満たさない。
かつて世界は繊細だった。運命の質量に星々は静かに耐えていた。かつて僕は「彼方」に在ったのだ。小さな家や大気や蝶番を奇蹟とも思わずに。森の中で意志なく木肌
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