芝桜/あらい
 
も、応えは同じだと叫んでいる
(それが吾身の姿だと諦めなさい)
其其の殺意を産む
(私はわたしだと 憐れみなさい)
是が私だと情け見なさい。
素直に見えるものを呑み込みなさい
(あきらめるのか さとるのか)
姿など、どうでもよかった
わたしののぞむ体は|生《な》し様に得ず、
だれかを想う躯が私をうみだす限り
私は私を離れ羽搏いていく自由があり
思うがままではなく、生まれ出る余興がある
『楽〆ればいい、愉沁み賜まえ』

小間使いの粗い聖遺物の 依代はやがて 男を選んだ。
飯炊きにも関わる 存命の介錯は 徒労にも芝桜の丘が似合う
なし崩しの夢を酔わせて それでいて簡素で 幾度も興させる
味のあるものだ。花は咲かぬが オンナはほらソコへ、
さる転移術の 円に急度 踏み込んだものでしょう。
そういう突飛なことあって珍しくも個性はない、私。
戻る   Point(1)