芝桜/あらい
 
階層を施された荷馬車の一角にひかりが中る。
眩くて昇華される、どうやら辺りのようだ、

遺体の奥で植わる蛆虫が盛んに蠢いて出口をこさえていく。
それぐらいは許してもいいだろう
涙のかわりに胃液すら腐る未来の無い域を吐瀉した、
もうずいぶん落ちぶれて影も形もない
だれも見向きもしない余生を送っている

どれだけの酒を飲んだのだろう我儘もいい心地だ
めくるめく二度と、出会えない世界でまぐわう
それでまた愛を語らうつもりで
雨は富めどころなく時を虚ろわせ続ける
確かに冷たいだけのコワイロだろうが
出会いは、必然と偶然を育みながら
童は泣いている。あれは

私とも子とも、
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