悪夢の足跡(そくせき)/ひだかたけし
 
戦慄の瞬き、濃緑のうねり
冷え冷えとした岩峰、空に貼り付き
街道に沿って、男は進む

連れの女の乳房は揺れて
朝の四時まで密室に二人

都会から、遥か離れ人影無く
恐怖にすくむ、ガードレール下
渓谷深く、足許を抉る

戻らない戻れない
戻る場所はとっくに奪われ
掻き消されていく男の足跡








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