詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
 

でも
その恋人が1週間ほど前に亡くなったという。
陽気なママが泣いた。
ぼくも泣いた。
ぼくの恋人も泣いた。
10年ぐらい通ってた店やった。
タコ焼きがおいしかった。
そこでいっぱい笑った。
そこでいっぱいええ曲を知った。
そこでいっぱいええ時間を過ごした。

陽気なママは
いまも陽気で
元気な顔を見せてくれる。
ぼくも元気やし
笑ってる。

ぼくは
自分の右足に
自分の右足を踏まないように命じてる。

ぼくのこころが
けっして、ぼくのこころを責めないように命じてる。

笑ったり
泣いたり

泣いた
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