詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
→きみや→日知庵のはしごのあと、以前にかわいいなと思っていた男の子と偶然、電車で乗り合わせて、駅の近くのバーでいっしょに飲んだ。人生というものを、ぼくは畏れているし、嫌悪しているけれど、愛してもいる。嫌悪すべき日常に、ときたまキラキラ輝くものがあるのだもの。
しじゅう無名性について考えている。無名であることによって、ぼくは自由性を保てているような気がしている。『詩の日めくり』の見本刷を何日か読み返してみて、実感している。芸術家は生きているあいだは無名であることが、たいへん重要なことだと思っている。死後も無名であるのなら、なおさらよい。
ああ、つまり、ふつうのひとということだ。詩人で
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