詩の日めくり 二〇一六年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
いる場面があって、なぜかその場面がしきりに思い出されてくるのであった。仲のよい二人の人間が、向かい合って、あったかい甘酒をすすっている光景が、ぼくには、こころおだやかにさせるなにかを思い起こさせるのだと思うけれど、こうした光景が、ぼくのじっさいの体験のなかにもあって、それはノブユキとカレーを食べてたときの光景だったり、えいちゃんと、イタリヤ風に調理してあった大きな魚をいっしょに食べたりしたときの光景だったりするのだった。ぼくの脳みそがはっきりと働いてくれるのが、あと何年かはわからないけれど、生きて書いているうちに、そんな光景のことなんかも、ぜんぶ書いておきたい。


二〇一六年四月十六日 「
[次のページ]
戻る   Point(15)