愚の原石/ただのみきや
 
不実日和

声は裂ける傘のよう
いつかの夏を絞りながら
蜜蜂の愛撫に
義眼を転がして
女の雨脚は
蜥蜴たちの抱擁をほどく
鞄の中で犯された
天使の羽根が舞う丘
青い爪を持たない
蝸牛の時間を捕食する
蓋を閉め忘れた
心臓の濁った声
発芽した苦いスプーンが掘り出した
冷やかに括れて行く人参の
陰から覗いている
ああ家族たち
数珠繋ぎの顔顔顔
酸性の小言
毛虫が食むような痒みにより
剥離した炎その 素顔すら
骨董品のペルソナだったのか
ミニスカートの蝶
ビリヤードのキュー
強制朗読による凌辱と
燕のように行き来する子供たちの舌に
供物とされた
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