かみさま、わたしは海を汚してしまった/ホロウ・シカエルボク
長いこと長いこと、そこで笑い続けていたことを覚えています、思えばあの時、どうして助かったのか、いくら思い出そうとしても思い出せないのです
きっと、あの瞬間の記憶に比べればそれは、まるで取るに足らない下らない記憶だったということなのでしょう
人生を堅実に生きることが美徳だと言われます、特に最近は、神経症的にそんなことが囁かれている気がします、だからといって
道行く人の誰もが、まるでそんな風に生きているように見えないのはどうしてなのでしょうか
人間は記憶の砂地の上にどうにか立っているだけの生きものです、確かなものなどこの世の中にはなにひとつないのです、確信はただの自己満足です、それが理解出来な
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